理想について

備忘録

東京三月

満員電車は凪どうぜん

東京、三月 わたしがひとり

 

東京は石の都だ

コンクリイト 

    コンクリイト 

         こんくりいと

 

空間だけのこの街で 日向を呑むのはわたしだけ

耳食む風も 首行く雨も

わたしにマフラー着せられない

 

竜宮城から帰るとき

(いいやここさえ竜宮城なのだ)

月が太陽のフリしても

氷の風雨が私の心を囲繞する

 

 

そうか 東京は 光の遺跡だったのか

ソープランド

   ファミマにローソン 

         家系拉麺花笠屋

 

コンクリートは意味を得て

ひとりのわたしを温める

いのちを消し去る闇夜を前に

火も日もネオンも大差ねえ

 

わたしの今日が終わりなお

冷たい花火がはぜるとき

耳も目も歯もうるさくて

眠れないので   

           君の手を取りまぶたを閉じた